「ひとつだけ、条件があります」
私のその一言により、彼の表情が険しいものに変わった。何かとんでもない無理難題を押し付けられるとでも思ったのだろうか?
ならば…この流れで言わせてもらおう。
「私を、女友達第一号にしてくれませんか?」
ハムっちを彼の目の前に差し出し、少し頭を下げてお願いしてみせると…彼は昨日披露してくれたばかりの破壊力抜群のキョトン顔で私のことを不思議そうに眺めている。
「え…そんなことでいいの?」
(…ん?逆にもっと過激なお願いでもいいの?)
っと聞き返しそうになったが、なんとか堪えた。
「そんなこと“が“、いいんです。恋人になれないならせめて…私は成川くんと友達になりたい」
彼は一瞬考えるような素振りを見せたが…目の前で揺れるハムっちに根負けしたのか、、
「……わかった」
っと、小声で呟いた後…私の手の中で揺れているハムっちを静かに受け取った。
「よろしく─…友達1号さん」
そう言ってこちらに背を向けて自転車で去っていった彼の後ろ姿を見つめながら、何だかとんでもない間違いを犯してしまったような気がした。
……苗字呼びから“1号呼び“に降格してない?!