そんな経緯があったので…試験の結果が合格だとわかった時、家族みんなで大騒ぎの宴を開くほどの歓喜に包まれたわけなのだが、、


今思えば、あの衝撃的な出会いを忘れろと言う方が無理な話かもしれない。


それにしても、入学式で成川くんの姿を見つけた時は本当に嬉しかったな。もう少し話せる仲になったら…あの時のお礼をもう一度、ちゃんと言わせてもらおう。


成川くんはあんな風に言っていたけれど、、


やっぱりどう考えても、あの日の彼は間違いなく私にとってヒーローだった。



なんて…過去を振り返っている間にあの日と同じようにホームに列車がやってくる。遠い記憶のように思えるが…あれからまだ半年しか経っていない。



(明日、学校で成川くんを見かけたら…声をかけてみようかな?挨拶くらいなら返してくれる?)


失恋したわりには…早く明日学校に行きたい、なんて思っている自分が存在して…いかに自分がポジティブ思考な人間なのか思い知る。



これだから…恋愛は楽しい。


いきなり付き合って欲しいなんて言った私が間違っていた。明日話すことが出来たらもう一度、成川くんに別の言葉で告白をしよう。


─…私を、女友達第一号にしてくれませんか?