日が沈みかけた夕焼けの空の下、学校からの帰り道…駅のホームで電車が来るのを待ちながら、、


あの日─…

成川くんと出会った入学試験の日のことを思い出していた。





高校入学試験の当日─…


遅刻しないように早めに家を出て、電車の中で単語カードを見ながら押し寄せる緊張感を飲み込むようにして一つでも多く頭に知識を入れようと、集中していた。


そのせいで、降りるはずだった駅に着いたことに気付かず。降り損ねたことに気付いたのは一駅先に列車が到着した時。


慌てて反対のホームまで走り一駅戻ることになったのだが…試験を受ける前に体力もメンタルも消費してしまった。

早めに家を出たので、試験には余裕で間に合う時間であるとはいえ…気持ちの面ではすっかり余裕を無くしてしまっていた。


そんな時…駅のホームを出て試験会場がある学校を目指して歩いていた私の目の前で、高齢の女性が突然座り込んでしまった。


一体どうしたというのか…駆け寄って声を掛けると、お腹が痛いと言って辛そうにしていた。


私以外にも会場へ向かう生徒が数人歩いているのが視界に入ったが、頼れそうな大人の姿は見える範囲では確認できず…とりあえず救急に連絡を入れた。


救急車が来て、安堵したものの…状況を詳しく教えて欲しいと救急隊の方に尋ねられ、答えている間にも時間はどんどん過ぎていってしまう。


再び私が受験会場へと足を進められたのは、試験開始のチャイムだと思われる音が耳に届いた頃だった。