「うぅ……。オジ様。助けてください」

 「はぁ?嘘ついてんじゃねぇ! いい加減にしとかねぇと本気で犯すぞっ!!」

 「いやぁっ!!」

 「コラ!早く離れなさい」


 キレるショウに怯えてたらオジ様が軽々と引き離してくれた。


 オジ様に羽交い締めにされたショウは不満そうに私を睨む。

 思わずその瞳から目を逸らす。ちょっと気まずい。


 「大丈夫かい?お嬢ちゃん」

 「はい!オジ様のおかげで助かりました」



 少し罪悪感を感じながらものっそりと立ち上がる。

 そしたら、膝にキリっとした痛みが広がった。

 うわぁ…。膝から血が出てる。帰ったら消毒しなきゃ……。


 「こいつは警察に突き出しておいてやるからな。お嬢ちゃんはお帰り」

 「はい。ありがとうございます」



 優しい口調で爽やかな笑顔を私に向けてくるオジ様に軽く頭を下げて、自転車のカゴに入っていたケーキの箱を抱える。

 ショウには悪いけど、また殴られそうになったら今度は逃げ切れる自信がないし。ここはオジ様に任せよう。


 「ちょ、待て待て待て。嘘だろカンナ。冗談がきつすぎるって」

 「じゃあ、私は帰ります……」

 「気を付けてね」


 物凄く焦った様子でショウに呼び止められたけど、見てないフリをする。

 そして手を振ってきたオジ様に深く頭を下げて、私は家に向かって歩き出した──。