わ、最悪っ。やばいかも……っ。

 尋常じゃないくらい怖い顔で近づいてくるショウを見て背筋がゾッとした。

 こんなの捕まったら最後。確実に殴られるコースに決まってる。


 「いやあぁぁっっ!!」


 大絶叫しつつ急いでショウとは反対の方向に向かって走り出す。

 今、歩いてきたばかりの道を戻って判子屋さんとエスプレッソの前を通り過ぎ、曲がり角にある定食屋さんの横の路地に逃げ込んだ。


 だけど。


 「きゃあっ!!」 


 民家を何軒か通り過ぎたところでショウに突き飛ばされて転んでしまった。

 しかもズザーなんて音を立ててかなり派手に。

 スカートだから諸に肌を擦りむいてめちゃくちゃ痛い。



 「てめぇ……。今日は本気で容赦しねぇからな」


 いつもより低くて冷たいショウの声。

 ごくりと生唾を飲み込むとショウは近くに置いてあった自転車のカゴにケーキの箱を入れて、すかさず私に馬乗りになって胸ぐらを掴んできた。


 女の子相手なのに容赦がない。

 眉間に深く皺を寄せて、心に湧き上がった怒りを剥き出しにして私を睨んでくる。