「お前……いい加減にしろよ」


 肩スレスレで切り揃えたストレートの茶髪。身長も胸も小さいけど、脚は綺麗と言われる方。

 顔だってパッチリとした二重の目に鼻筋だって通ってる。性格だって“いい”って言われたりもする。

 なのに、好きになった男の子に『子供っぽすぎて恋愛感情を持てない』と振られ続けて早数年。



 篠田カンナ。16歳。

 今、幼なじみの樋山ショウに追い詰められてます。



 「私……」
 「早く選べよ」
 「決められない!」


 簡単には選べない。こんな重要なこと。


 「どっちでもいいだろ」
 「良くない!」


 選べるのはたった1つ。ここは慎重に……。


 「もういい。すみません、こっちで」
 「あぁっ!ちょっと待っ……」
 「はい。チーズケーキですね。320円になりまーす」


 決められてしまった。



 大通りにあるケーキ屋【エスプレッソ】ケーキ屋巡りが趣味な私の1番のお気に入りのお店。

 そこにジャンケンで負けた私とショウは“みんな”のケーキを買いに来た。


 モンブラン、ガトーショコラ、ティラミス、ブルーベリータルト。

 そして、ショウの一言ですんなりと箱に詰められてしまったチーズケーキ。


 いいよ。チーズケーキ食べたかったし。

 でも……でもね?


 「ショウ酷いよ…っ。私、ショートケーキかチーズケーキかで真剣に悩んでたのにっ!!」


 それを勝手に決めちゃうなんて。


 「チーズケーキが食べたかったんだろ?別にいいじゃん」


 怒ってるのにショウはヘラヘラ笑って、全く悪びれた様子がない。


 もう!酷いっ。