耀太の邪魔をしているという自覚は昔から持っていた。付き合うことが決定された当初から。

わたしがいることで、耀太が本当の恋愛を出来ないんじゃないかって、考えない日は無かった。耀太の" 好き "を阻んでいるのではないかと。

こんなわたしが、いまさら、耀太に" 好きです "なんて伝えることさえ、烏滸がましいと思った。




「今日もはぐ、くっっっっそ可愛かったわー……安定に女神。保護したい」

あれから三日程が過ぎた放課後。運悪く悠衣と日直になってしまい、本日は居残りの日である。いつもはわたしに任せて即帰宅する悠衣は、何故か今日は残ってくれた。

「はいはい。可愛かったねー」

「はぐひとりで世界救ってると思わね?」

「悠衣の世界は救ってるんじゃないの」

「はぐ保護部があれば即入部するし部長は俺で副部長はお前な?」

「悠衣、あんた顔と言葉が噛み合ってないからもう喋るのやめたら?」


誰にも吐き出せない悠衣の惚気を聞くのは大抵わたしと耀太の役目。しばらく溜め込んでいた彼女への好きを爆発させているのだろう。

綺麗な顔をしている悠衣は無表情がテンプレートなので、怖いイメージを持たれる。しかし口を開けばこんな惚気を言うのだから、最早カオスである。