わたしと耀太が一緒に帰るのは、耀太の部活が休みか自主練のとき。中学生の頃から始めた、約束とも言えないルールが、なんとなくいまも続いている。

「……え、七時まで学校にいるの?無理」

だから当然、待つことにも慣れていない。

「無理でも待ってて」

「なんで?」

素朴な疑問をぶつけると、ようやく耀太はわたしを見上げた。末広二重がねむそうな耀太は、やる気のない声で。

「合コンとか俺が無理」

予想もしなかったことを告げると、すぐにスマホを触り始めた。

「(悠衣に聞いたな……)」

犯人はあの男に違いない。妬かせる為にも、行こうかなって青葉と話していたけどさ。

「……行かないわよ……」

耀太にお願いされたら、行こうとしても行かないし、ちゃんと待ってるよ。