人生損しているな、と。
若干17歳、自分自身の不慣れさに辟易する。


‎𖤐⡱



「枕だに知らねばいはじ見しままに君語るなよ春の夜の夢」



大人はどうして、人生に意味の無いことばかり学ばせようとするのか。

5限目の古典は子守唄だ。窓際から二列目、さらには最後尾というのも、睡眠に適した環境だといえる。

睡魔と戦うこと40分。長い戦いの終止符を打ったのは、たったの一瞬だった。

《部活、自主練になった》

短く震えたスマホ。覚醒する脳。了解、と短い文を打ち込んでいれば、チャイムが響いた。

全く書き写せていない事実も同じタイミングで気づかされる。つまり、どういうことかと言うと、単純にやばい。

どこからともなくペンを仕舞う、授業終わりの特有の音が聞こえ始めた。焦るわたしなど、この教室内で誰も知らない。