「これって、悪者は俺になるの?夕華は一体、誰のプリンセスなんだろうね」


「え…っ?」




 なにを言っているのか、まったく分からないけど。

 誰の妃なのかと言われたら、それは…。




「怜央さんの、じゃないですか…?」


「ふぅん…俺のなんだ?」




 正しいことを言ったはずなのに、怜央さんがあまりにも妖しく微笑むものだから、答えを間違えてしまった気分になる。

 加速する鼓動を落ち着かせるために、怜央さんから顔をそらして辺りを見ると、不良っぽい人たちはみんな倒れていた。

 “これで終わり”って、そういうことだったんだ。




「ね、夕華。帰ろ?」


「え…あ、そう、ですね…こんなことがあったら…」




 デートなんて、続けられないか…。

 私は少し残念に思いながら、うなずいた。