「へぇ…人質?」


「え?えっ??」




 混乱している間に、首に腕が回されて、体がうしろへ引っぱられる。

 人質?私?え?なに??




「この女を殺されたくなかったら、そこでじっとしていろ!」


「えぇっ!?」




 殺されるの、私!?

 うそでしょ、犯罪だよ!?

 こんな明るい場所で、いつ人が通るかも分からないのに!?




「甘いね、すきだらけ」


「がふッ!?」


「わっ。な、なに!?」




 こっちになにかが迫ってきて、ぎゅっと目をつぶると、体がうしろに引っぱられて倒れそうになる。

 と思ったら、前から腕を引かれて、ぼすっと、硬いものに顔をぶつけた。




「わぷっ」


「これで終わり」


「れ、怜央さん…?」




 今、頭のすぐ上から怜央さんの声が聞こえたような。

 恐る恐る顔を上げると、微笑んでいる怜央さんの顔が、今までで一番近くにあった。