私を見て微笑みながら、怜央さんは右腕を上げて、横にいた人の頭をわしづかみにした。

 それからすぐに、ゴツゴツンッ!と音がして、私たちの前にいる人たちが、頭突きし合ってバランスを崩している様子が目に入る。




「なっ!?」


「えぇ…?」




 どういうこと?なにが起こったの?

 私がぽかんとしていると、怜央さんは私の手をそっと外して、反転しながら左足を横に伸ばした。

 これも、「ぐッ!」と数人のうめき声がしてから、怜央さんのブーツが男の人の太ももに食い込んでいる様子が見える。


 コマ撮りの写真を見せられているみたいに、まばたきをすると男の人たちの様子が変わっていって、私の頭は、はてなだらけ。

 分かるのは、怜央さんがよゆうそうな様子なのと、男の人たちが次々にうめき声をあげて倒れていくことだけだった。




「う、動くな!この女がどうなってもいいのか!」