甘いスイーツと、口直しのコーヒーを存分に味わって、カフェでのんびり過ごしたあと。
私たちはお店を出て、近くにある公園へ向かった。
「そろそろかな…」
公園の中に足を踏み入れたとたん、怜央さんがぽつりとつぶやく。
そろそろ?
首をかしげて怜央さんを見ると、気だるげな赤い瞳が私に向いた。
「夕華のおもしろさは貴重だから、大人しくしてるんだよ」
「え…わ、私そんなに、はしゃいでました!?」
いきなり“大人しくして”なんて言われて、私は羞恥心から両手でほおを押さえる。
確かに絶品のスイーツを前に、ちょっとはしゃぎすぎた可能性はあるけども。
「ふはっ…うん、それでもいいや。なにを見ても、間に入ってこないでね」
「やっぱり、はしゃぎすぎ…!?い、いえでも、乙女ならある種当然の反応と言いますかっ、でも人さまのものを奪うほど――」