「自分がやったことなのに、赤くなっちゃうんだ?おもしろいね、夕華は」
「だ、だって、状況が違うじゃないですか!」
「同じでしょ。スプーンなら拭いてあるから気にしなくていいよ。ほら、あーん」
あ、なんだ、拭いてあるなら…って、それあんまり意味なくない!?
洗剤で洗ってたとしても、怜央さんが使ったあとのスプーンなんて緊張するんだけど!?
「ねぇ、腕疲れる。早くして?」
「あ、は、はいっ!」
催促されて、私は“あーん”とプリンを食べた。
パフェの生クリームよりも甘く感じるのは、この状況のせいかな…?
「ふふっ、顔真っ赤。美味しい?」
「美味しい、です…」
消え入りそうな声でつぶやくと、怜央さんは「そ。よかったね」と私に笑顔を向ける。
このお方、自分の顔の良さを自覚したほうがいいと思うんだけど…っ。
どくどくと、加速するばかりの鼓動を聞きながら、私は熱くなったほおに手の甲を当てた。