「美味しそう!怜央さん、どのくらい食べたいですか?お好きな分、取っていいですよ」


「…全部、って言ったらどうする?」




 怜央さんは、ほおづえをついたまま、目を細めて私を見る。




「え…全部は、ちょっと。もう1つ頼みますから、そっちを食べてください」




 眉を下げ、口をへの字に曲げて言うと、怜央さんは「あははっ」と満面の笑みを見せた。

 胸がドキンと音を立てる。




「いいよ、じゃ、一口ちょうだい?」


「一口ですね?ちょっとスプーン借りますよ」




 怜央さんのプリンについてきたスプーンを借りて、さくらんぼパフェを一口分すくいとる。

「はい」と、そのままスプーンの先を怜央さんの口元に近づけると、怜央さんは、ぱちり、ぱちりとまばたきをして目を伏せた。