「…」
「どうしたの?」
「あ…こ、こんにちは。怜央さんがまとう空気が、その、あまりにも浮世離れしていて…本当に私、デートなんてしちゃっていいのかなと…」
思ったことを素直に言うと、怜央さんは、ふっと笑って前に出た。
「俺がさそったんだよ。いいに決まってるでしょ。俺のやることを否定できるやつなんて、この世にいないから」
わぁ…すごく堂々とした物言いなのに、怜央さんが言うと、あたりまえのことを聞いているような気持ちになる。
豆腐を指して、これは豆腐だよ、って言ってるみたいな。
「行こ」
「あ、はい!」
さすが帝王さん、と思いながら、私は歩き出した怜央さんのとなりにならんだ。
騎士くんも、騎士さんもいない状態で怜央さんと会って、一緒に歩いてるなんて…緊張するな。