「夕華、今日も掃除するの?」


「え?あ、はい、全部の階やろうと思ってますから」


「ふぅん。…ねぇ、手伝ってあげてよ」


「かしこまりました」




 怜央さんが私のうしろを見て話しかけると、まだ扉の前にいたらしい騎士さんが無表情で答えた。

 まさか、私が勝手にやってる掃除を手伝ってもらえるなんて。




「夕華。掃除が終わったら、俺にご飯作ってね」




 声をかけられて、私は、ぱぁっと表情を明るくしながら怜央さんを見る。




「はい!」




 怜央さんから“ご飯を作って”って言ってもらえるなんて、うれしいな!

 このあとの掃除も料理も、がんばろう!


 やる気マックスで、私は怜央さんに手を振って、騎士さんとお部屋から出ていった。