ケンカ後の現場に出くわしてから数日後、晩ご飯に使った食器を拭いていると、めずらしく愛奈が声をかけてきた。

 すぐに手を止めて、にこっと顔を向ければ、愛奈は少し興奮した顔で「あのね」と言う。




「愛奈、お願いがあるんだけど」


「お願い?いいよ、なぁに?」


「愛奈ね、最近好きな人ができたの。で、好きな人の役に立ちたいから、お姉ちゃん、Night Empire(ナイトエンパイア)の仲間になってくれない?」


「えっ?」




 愛奈に好きな人が!?

 それに、Night Empireの仲間に、って…Night Empireって、この辺で一番危険だってうわさの暴走族じゃない?




「愛奈、どういうこと?もう少し、くわしく教えてくれない?」