騎士くんが目を丸くする。

 だって、自分の望みは伝えておかないと。

 言えばかなうかもしれないことも、かなわなくなっちゃうじゃない?


 微笑(ほほえ)んで帝王さんを見ると、ぱちりと目を開いた帝王さんは、初めて関心が宿った瞳を私に向けた。




「どうして俺が、きみのこと見逃して、助けてあげなくちゃいけないの?」


「それが私の希望ですから。望み薄でも、伝えれば希望に近づくかもしれないじゃないですか」


「…」




 穴が空きそうなほど、じぃっと私を見つめた帝王さんは、ふっ、と、ほおを緩める。

 帝王さんが微笑んでる顔なんて初めて見た…!

 あまりのイケメンオーラに、顔が火照(ほて)っちゃったよ。




「そんなこと言ったら、自分の身が危なくなる、とか思わないの?」