ほくほく気分で家に帰ると、私は「ただいまー」と明るく声をかけた。

 くつを脱いで廊下を歩いて行けば、ドタドタッと足音がして、怒った顔の愛奈(あいな)が私に詰め寄ってくる。




「お姉ちゃん!」


「わっ。なぁに…?」




 今日、愛奈を怒らせるようなことしちゃったかな…!?

 必死で今日の行動を振り返る私を、1秒たりとも待つことなく、愛奈は口を開いた。




「お姉ちゃんのせいで愛奈ががっかりされたじゃん!」


「えっ。ご、ごめんね…っ!私、なにを…!」


浩太(こうた)さんたちが、帝王(エンペラー)の学校を今日1日中見張ってたのに、結局帝王が現れなかったって!お姉ちゃん最低!愛奈にうそ教えるなんて!」


「えっ?」




 帝王さんが、今日学校に行かなかった?

 で、でも、どこかに出かけてたみたいなのに…。