「失礼します、鉄谷です。帝王さんのご飯を持ってきました」
少しして、扉を開けてくれたのは、昨日と同じ真面目そうな雰囲気の人。
「どうぞ」と中に入れてもらえたので、私は、にこにこと笑いながら帝王さんが座るソファーのとなりまで歩いていった。
帝王さんが、ほおづえをつきながら、気だるげにチャーハンを見る。
「ピーマンが苦手なのかなと思って、抜いてみました。どうぞ」
「…」
昨日は、みじん切りにしたピーマンを入れてたんだよね。
帝王さんが見てたのはそれなんじゃないかと思ったんだけど、どうだろう?
テーブルにお皿とスプーンを置くと、帝王さんは、のそっとスプーンを手に取った。
でも、帝王さんがチャーハンをすくう前に、真面目そうな雰囲気の人が近づいてきて、ビニールに入った割りばしを取り出す。
「失礼します」