ここから歩いて10分くらいのところにコンビニがあったし、食材を買ってきて、かんたんな料理をする時間はあるけど…。
「…Night Empireの人に聞いてみよう」
バケツとぞうきんを洗い終えた私は、水気を拭き取ってから、お城の玄関ホールに戻った。
「あの、すみません。帝王さんって晩ご飯はどうされてるんですか?」
「あ?知るか。帝王さまの身の回りのことは、騎士さましか知らねぇよ」
「うーん…それじゃあ、騎士くんと話せたりしますか?」
「僕がなんだって~?」
玄関ホールにひびいた高い声には、聞き覚えがある。
いつからお城にいたんだろう、と思いながら階段のほうを見ると、ふわふわの髪をゆらした騎士くんがにこにこと下りてきた。
「騎士くん、こんばんは。あの、帝王さんって晩ご飯はここで食べてるんでしょうか?」