「よしっ、1階終わり!」




 反対側の行き当たりまで水拭きを終えて、私は立ち上がった。

 ずっとしゃがんでたから、ちょっと腰が痛いかも。

 水を入れたバケツに汚れたぞうきんを入れて、ぐーっと伸びをすると、固まった体が少しほぐれた。


 ポケットに入れていたスマホを取り出せば、画面に18:42と表示されているのが目に入る。




「わっ、もうこんな時間!?」




 早く家に帰って、晩ご飯を作らなきゃ!

 私はバケツを持って、Night Empire(ナイトエンパイア)の人に教えてもらった、お城の裏手にある水道に急いで向かった。

 薄茶色になった水を排水溝に捨てて、蛇口から出した水でバケツとぞうきんを洗いながら、ふと思う。


 そういえば帝王(エンペラー)さんって、晩ご飯はここで食べてるのかな?

 料理は誰がしてるんだろう?

 私、帝王さんの伴侶(はんりょ)になっちゃったわけだし、ご飯作ってあげたほうがいいのかな?