これが、返り血?

 びっくりして、ハンカチを見てから帝王さんを見ると、“もういいでしょ”と言わんばかりに階段を上っていた。


 帝王さんが健康体なのはよかったけど…この量で返り血って、一体なにをしてきたんだろう…。

 うわさに聞く“一番危険な暴走族”の片鱗(へんりん)を見た気がして、ハンカチが重く感じる。

 私、スパイだってバレたらどうなるんだろ。


 そう考えるとぞくっとしたけど、頭を振ってしゃがみなおした。

 バレなきゃいい話だよ。

 万が一バレたって、そのときはそのときで、なんとかすればいい。



 今は、Night Empireの人たちと仲良くなることを考えよう!

 そう決めて、私は手に持ったぬれぞうきんで、また床をこすり始めた。