私は玄関ホールにいる、Night Empireの人たちの視線を背中に受けながら、1階の端まで歩いて行った。

 行き止まりまで来るとしゃがんで、ミニサイズのほうきを使い、掃き掃除を始める。

 ちゃんと汚れてもいい服に着替えてきてるから、ひざをついても大丈夫!




「ふんふ~んふん♪」




 長期戦になることを見すえて、気分を上げるための鼻歌を歌いながら、サッサッと床のほこりを掃く。

 家の床や学校の床じゃなくて、お城の床っていうのが、いつもと違って少しテンションがあがるところ。

 私はしゃがんで小さく移動しながら、サッサッとほうきを動かした。




****


 1階の端から端まで掃き掃除をして、ぬらしたぞうきんで水拭きをすることしばらく。

 雑談している男の人たちの間をぬって、玄関ホールの床をせっせとみがいていると、私のとなりで玄関の大扉が開いた。

 外の風が入り込んできて、しゃがんだまま顔を上げると、夕焼けをバックに、全身黒一色の格好をした帝王さんと目が合う。