Side:鉄谷(てつたに)夕華(ゆか)


 私が着ているブレザーとは違い、セーラー服や学ラン姿の男女が歩いてくる道を、私は逆走していく。

 1個下の妹、愛奈(あいな)が高校に入学してから、毎日続けている習慣。

 学校では会えないから、早く元気な姿を見たい。


 そう思うと、足を前に出すスピードが速くなる。




「あっ」




 道路の先に、ピンク色の髪をふんわりとボブにした、可愛い女の子の姿を見つけて、私は笑顔で手を振った。

 目が合った気がしたんだけど、愛奈は早足で角を曲がって姿を消してしまう。

 また遠回りする気なのかな?


 私は愛奈の姿を見失わないように、小走りで愛奈が入っていった道へ急いだ。

 ふわりと揺れるピンクの髪を追って、家に帰る道からどんどん離れていくと、角を曲がった先で愛奈が足を止めていることに気づく。




「愛奈!」