あの印象的な赤い瞳がまだ頭に残ってるし。




「そして僕は、帝王さまに仕える騎士で、ナイトって呼ばれてる!これからよろしくね?」




 男の子は腰をかがめて、私の顔をのぞきこんだ。

 にっこりと笑ったあと、閉じたまぶたの裏から現れた瞳は、どこか冷たく見えて少しぞくっとする。




「は、はい、よろしくお願いします、騎士(ナイト)くん。私は鉄谷(てつたに)夕華(ゆか)です、高校2年生で――」


「へぇ~、それじゃあ僕と同い年だね!また会おうね~、妃さま」


「はい!って、あれ…?」




 とんっ、と背中を押されて前に出ながらふり返ると、騎士くんはにこにこ笑ったまま木の扉を閉めた。


 いつのまにか、お城の外に出ちゃった。

 私と騎士くんを分断するように閉められたこの扉、もしかして今日はもう、開きそうにない…?

 騎士くんも、“また会おうね”って言ってたし。




「うーん…まぁ、また今度来てみよう」




 私はつぶやいて、お城に背中を向けた。

 早く家に帰って、愛奈(あいな)にNight Empireの妃にしてもらったよ、って言おう!