――ギィィ…


「帝王さま。うちに入りたいと言っている“客”を連れて来ました。どうしますか?」




 重そうな両開きの扉を開けて、男の子は胸に手を当てながら頭を下げる。

 えらい男の子が頭を下げるくらいの、えらい人。

 部屋の奥を見ると、1人用の赤いソファーに座って、足を組みながらほおづえをついている男の人がいた。


 濡れているようなつややかな黒髪に、赤い瞳をした、息を飲むほどのイケメン。

 “エンペラー”さんは、気だるげな切れ長の瞳を、ゆっくり私に向けた。