「あ、ひ弱に見えるかもしれませんが、これでも私、なかなかのもので。ハエとか蚊には連戦連勝です!」


「…なに言ってんだ?」


「場合によってはゴキブリとも戦えます!」




 暴走族に入るのだから、やはり戦歴をアピールしないと、と思って拳を握ると、男の人に白い目で見られた。

 なぜ?




「お前みたいな頭のおかしいやつを相手にするほどひまじゃない。さっさと帰れ」


「えっ。おかしくないですよ!私これでも勉強は得意なほうで、成績も優秀――」


「知らねぇよ、帰れ」


「な、Night Empireに入りたい気持ちは誰よりも強いです!お願いします、仲間にしてください!」




 がばっと、90度に頭を下げると、「だから」といらだち混じりの声が聞こえる。




「帰れって――」


「なになに、どうしたの~?」


「な、騎士(ナイト)さま!」


「…?」