さっきのあの〝事故〟のせいだ。〝事故〟のはずなのに、鼓動がまだ少し速いような気がしたのは、きっと気のせいだと信じたい。


*

「……ただいまぁ」


部屋は真っ暗だ。ミホさんはきっとまだ帰ってきていないのだろう。


部屋の電気をつけてから、とりあえず自室に直行する。クローゼットが自室にあるので、そこで着替える必要があるのだ。


これから出かけることはないので、部屋着に着替えてしまっていいだろう。


そう思い、クローゼットを開け、部屋着を取り出す。選んだ服は、ジーパンにフード付きの黒い服といった、いたってシンプルなもの。


シンプルな方が落ち着くから、それで構わないんだけどね。


さっさと部屋着に着替え、脱いだ制服の白シャツのみ洗濯機にだす。


そしたら、ミホさんが帰ってくる前に、急いでご飯を作ってしまおう。


リビングに立てかけてある時計に目をやると、五時半過ぎを指していた。ミホさんが帰ってくるのは、早くても六時半ごろなので、ご飯をつくる時間はたっぷりある。


今日のご飯はなににしようか。