数分して、ひと通りノートを書き終えると、左隣からなんとなく視線を感じた気がして、反射的にそちらに顔を向けた。


そして、そのまま視線がばちっと絡み合う。もちろん、川瀬くんと。


やば、目が合っちゃった。


どうしよう、これはぱっとそらすべき? いやでも、そしたら不自然だと思われるよね……?


どうしたらいいだろう、と硬直したまま頭をフル回転させる。


すると、その気まずい沈黙を破るように彼は口を開いた。


「……望月さん」


彼の視線はまっすぐに私をとらえている。その事実に、ばくん、と心臓がはねた。


「……はい」


男子にまっすぐ見られているということと、目が合ってしまった気まずさのあまり、緊張しているからか、私の声は震えてしまっていた。


そのまま川瀬くんは、何かを考えるような仕草をしながら、私を見つめている。なんだか、どこか不思議そうな。


どうしたんだろう。なんか私、変なところがあるのかな。


なんて、思考を巡らせてみるけど、それっぽい心当たりはなかった。


自分を直視されている気まずさと気恥ずかしさのあまり、私は思わず彼に声をかけてしまった。