今にも「きゃーっ」と言いたげな紬をたしなめる。念のため、この会話が聞かれていないか確認するために、川瀬くんの方をちらっと見た。


川瀬くんは、私たちの方など気にしていないように、男友達と話している。


いや、みんな少しこちらをちらちら見ている……気がした。やばい、聞かれてたかな。


そんな考えが体にうずまいていたとき、「座れー」と先生の声が聞こえてきたので、思考を強制的にストップさせた。


「じゃ、鈴音、また後で話そっ!」


まだにこにこしている紬は、私に笑顔でそう言って前を向く。


今は一応社会の授業だ。授業担当の先生が、たまたま担任の先生なので、席替えをしたという訳だ。


机の上にノートと教科書を広げ、先生の板書をノートに書き写していく。空いたスペースに、先生が口頭で説明しているところも簡潔にメモをする。


授業内容をしっかりノートに書き留めておくことと、家に帰ってからの復習を欠かさないことで、私は成績アップに成功した。なので、今もそれを毎日行っている。