そう言われたときは、飛び上がるほど嬉しかったのを覚えている。


〝可愛い〟とか〝友達になりたい〟とか、それはあの頃の私が一番求めていた言葉でもあったから。


でもそれより、明るくて、まさに〝主人公〟のような存在の紬に声をかけてもらえたことが、嬉しかった。


だって私は〝主人公〟のフリをしている〝平凡〟な女の子だから。


それに対して紬は、根っからの性格からして完全な〝主人公〟。


そんな紬はキラキラ輝いて見えたし、私は一瞬にして虜にされてしまった。


私はそれから紬の親友、というポジションなのだ。
……本当は。


「二回連続で鈴音と席離れちゃったなら、私神様のこと恨むから!」


小さく頬をふくらませて、紬はそんなことを口にする。そんな紬に、私はふふっ、と笑みをこぼすのだ。