昼休みだからか廊下に人が多い。


それを掻き分け当てもなく足を動かし続ける。


後ろから巳波くんの私を呼ぶ声が聞こえたけど、まだ冷静になれてなかったから追いかけて来ないでほしかった。


階段を下り、渡り廊下を歩いていると、前から歩いてくる女子生徒たちが談笑しているせいで私の存在に気付かず、ドンッと勢い良くぶつかってしまった。



「いった!!」


「あ…、すみませ、」


「あれ?この子、アレじゃない?」


謝ろうとしたら、ぶつかった子の友人らしき人が、私を見て何か思い出したように声を上げた。


何だろう…アレって…。


「確か、巳波くんとしか喋らない女?」


「え…」


「あー!そうじゃん。巳波くんの彼女面してる勘違い女〜。巳波くん迷惑そうにしてたよ?」



悪意に塗れた言い方は、私の心を深く抉る。


巳波くんにいつも迷惑をかけていることは分かっていたけど、人に言われるとこんなに嫌な気持ちになるものなのか。


…彼女面なんてしてるつもりなかったんだけどな。

周りの人からはそう見えてるのかな……。