次の日。


学校が終わり家に着くと、私はすぐさまランドセルを玄関に放り投げて隣の家に向かった。


後でお母さんに怒られると思ったけど、そんなの気にしていられなかった。



「つーばーきーくーん、あーそびーましょー」



ーーーシーン。



あれ?家にいないのかな?


そういえば、昨日は今日よりずっと遅い時間に椿くんは帰って来ていた気がする。



一旦自分の家に帰ろうかな…と、身体を方向転換させれば。


怠そうにこちらに歩いてくる椿くんを発見した。



「あー!椿くん!」


「……げ、」


私を見るなり嫌そうな顔をした椿くんは、くるり、と来た道を引き返そうとしていて。



「椿くんっ!どこに行くの?私も行くっ!」



私はすぐさま椿くんの後を追い掛け、彼の周囲をウロウロしながらひたすら話しかける。



学校であった、嬉しかったことや、悲しかったこと。今日の出来事全て椿くんにぶちまけていたと思う。


椿くんはあからさまにウザそうな顔をしていたけれど、私を追い払おうとはしなかった。







歩き続けて数分が経ち。


自分の話ばかりしていたことに気づいた私は、ようやく椿くんとの会話を試みる。




「椿くんは、中学生?何歳なの?」


「……13」



答えるまでに間があったけど、私と会話してくれたことが嬉しくて、思わず椿くんにギュッと抱き着く。



「……おい、くっつくな」


「えへへ、だって嬉しいんだもん」



椿くんの背が高いせいか、私の背が低いせいか。いくら頑張っても椿くんの腰辺りにしか腕が回せないけれど。


「………」


何も言わなくなった椿くんに私は気を良くして、抱き着く力を強くする。




「……歩きにくい」


「えへへー」



「………」



椿くんは諦めたのか、これ以上何も言わなかった。