「お前は本当に頭が悪い。何にも分かってない。ここまで馬鹿だったなんて」
椿くんから浴びせられる数々の暴言に、私はたじろぐ。
何で今頭が悪いとか言われなきゃいけないんだ…。
私の頭が悪いことなんて知ってたでしょ、と言いたくなるのをぐっと堪える。
「あー、もういいか」
何が…。
椿くんは立ち上がり、「色々我慢してた俺の方が馬鹿だった」と私を引き起こす。
「つ、ばきくん…」
少しは怒りが収まったのかな、と声をかけてみるも、その顔を見るに私のぬか喜びだった様で。
椿くんは、まるで抑えていたものがとれたような、今から愉しいことが始まるとでも言いたげな顔をしていた。
それに何だかゾッとして。
に、逃げなきゃ、ここを離れなきゃ、
そう思って手を振り払おうとしたけど、椿くんの力が強いせいで出来ない。
「この期に及んで俺から逃げるつもりか?」
「…っ、は、なしてよ!」
身体に力を入れて椿くんから逃れようとするも、それは全く効果がないようで、寧ろ私の腕の方が取れてしまいそうだった。
「絶対逃がさねェ」
ギロッと蛇のような瞳に睨まれ、ビク、と身体が固まってしまう。
それをいいことに、椿くんは私を俵担ぎして、地下室を出ようとする。
「お、おろして!」
「死にたくなかったら暴れるな」
「…っ、」
必死に抵抗を試みるも、それは呆気なく椿くんに阻止された。
私は、どこに連れて行かれるの…?