「椿くん!!開けて!!」



何回もドアを叩いて椿くんの名前を叫んでみるけど、何も反応はない。


「…っ、はやく、ここからだして、」


ここは、この場所は、何だか気味が悪い。


不安で堪らないのに、椿くんの帰りを願うことしか出来ないのがもどかしくて。


椿くんはどこで何してるの…?
早く、家に帰りたいよ…。


膝を抱えて座り込むと、自然と涙が溢れ出てきた。


「うぅっ…、かえりたいよ…」


お母さん、心配してるだろうな……。
それとも、椿くんが何か連絡入れてるのかな。


別に暗所恐怖症という訳ではないけれど、光がない場所は心を不安定にさせる。
そしてこんな薄気味悪い所に閉じ込められているということが、何よりも恐ろしかった。