ーーどのくらい眠っていたんだろう。


ゆっくりと瞼を持ち上げると、
そこには深い闇が広がっていた。


気絶する前と同じ場所…、だよね。
暗いからよく分からないけど、椿くんに連れてこられた地下室みたいなところっぽい。


あれからどのくらい時間が経ったのかな…。
椿くんはいないみたいだけど……。


先程の出来事を思い出すと、
舌がピリ、と痛んだ。


……椿くんはまだ怒っているだろうか。
まだちゃんと謝れてなかったから謝りたい。


だけどもう、
前みたいな関係には戻れないと思う。


椿くんのことが怖くて仕方なかった。
あんな椿くん見たことなかったし、やはり極道の血を引くだけあって、恐怖で全身が震え上がるような、そんな凄みがあった。


私たちは、このままでいいのだろうか?
距離を置いた方がいいのではないだろうかと、ぐるぐる考えてしまう。


椿くんは私に依存しすぎていると思う。
あれは、そこまで怒るほどのことだっただろうか?


……私には、椿くんしかいなくなるんじゃないの?


周囲との関わりを閉ざされて、最終的には周りに誰もいなくなってしまうんじゃないの……?


そう思うと、とても怖かった。






「…とりあえず、今はここから出ないと」


壁をつたいながらゆっくり歩いていると、
ドアノブのようなものを発見した。


これが扉かな…?


外に出ようとドアノブを回してみたけど、回るだけで扉が開かない。



「うそっ…、何で、」



ガチャガチャガチャガチャ。


回しても回しても開く気配がない。
きっと鍵をかけられているんだ。



「……こわい、」


真っ暗で、
何も無くて、
不気味で、
冷たくて、



「椿くん、ここから出してよ…っ!」



こんなところにずっと居たら、気が狂いそう。