「この椿って男とどーゆう関係?」
私の顔が真っ青になっていることに気づいたのか、木崎くんはらしくない真剣な表情で尋ねてくる。
「……隣の、家の人」
「はァ?ただ隣の家に住んでるってだけ?」
「うん…。でも昔から仲良くしてたから幼馴染みたいな感じかな」
「……ふーん」
興味があるのかないのか分からない返事をした後、木崎くんは何故か教科書を片付けはじめた。
「……木崎くん帰るの?」
「違ぇよ。…いや、違くはねぇけど。お前を家まで送る」
「え…?どうして?」
「なんか椿って奴ヤバそうだった。早いとこ家に帰った方がいいんじゃねぇの?お前の事探してそーだし」
椿くん、私の事探してるのかな…?
いや、でも仕事があるだろうしわざわざ探したりはしないだろう。
木崎くんは早く帰れって言うけど、本音を言えばまだ帰りたくない。
絶対、椿くんに怒られるに決まってるから…。
…何で、友達と勉強会をしていただけでこんなにハラハラしなきゃいけないの。
これを機に、自分の気持ちを伝えてみようかな。
椿くんと、しっかり話し合ってみようかな。
心配しなくて大丈夫だよ、って。
ちゃんと椿くんとも遊ぶからって。
木崎くんが電話に出なかったら誤魔化しが効いただろうけど、もう遅いし…。
「準備出来た?ってまだかよおっせぇな…、」
と、木崎くんが準備の遅い私に呆れていた時。
ーーーピーンポーン
チャイムが、鳴った。