「まだ決まってないならお前も明成受けろよ」
懇願するように、そう言われて。
……嫌だって言えば良かったのに、
「……わかった」
気づいた時にはそう返事をしてしまっていた。
しまったと思いながら俯いていた顔を上げると。
「…っしゃ！」
いつもの意地悪な顔が、そこには無い。
嬉しそうな、噛み締めるような、そんな顔。
「……なんで、」
嬉しそうにしてるの……？
木崎くんのその表情に、戸惑う。
初めてそんな顔向けられたような気がして。
「べ、別に意味なんてねぇよバーカ！」
さっきの表情はなんだったんだろう…。
もういつもの木崎くんに戻っていたけど、なんだか調子が狂うのでいつもの木崎くんの方が何倍もマシだ、と思った。
