「…お前、高校どこ行くの」



何故嫌いな私にそんなことを聞いてくるんだろう。同じ高校に行きたくないから?



「……まだ決まってない」


「は?この前進路希望の紙提出しただろ」


「そーだけど…」


「俺には教えたくないって言うのかよ」


ギロッと目つきの悪い彼に睨まれて、私は何でそんなこと言ってくるんだろうと思った。



「ち、違うよ……」


「じゃあ教えろよ」



嘘は吐いていない。


実は椿くんに高校に行く必要はないと言われたのだ。


私は高校に行きたいし、椿くんの言うことを聞くつもりはなかったけど、実際行きたい高校を決めきれていなかったし1回目の希望調査だったのでまだ猶予があると思い、何も書かずに提出したのだ。



「……、木崎くんはどこ受けるの?」


「俺は明成」


「そうなんだ…、なんか意外」


「…何でだよ」


「木崎くん頭良いから。もっと偏差値の高いところ受けるのかと…」


「……、お前が、受けると思ったから」


「え…」


言葉の意味がよく分からなくて、木崎くんをじっと見つめる。


芯の強い木崎くんの瞳は、どこか不安げに揺れていた。