「ねぇ、みんな喉渇かない?」


暫く黙々と勉強していたら不意に狩屋くんがそう言った。


「そう言われるとそうかも…」


結構集中してたから、自分が喉が渇いていることに言われるまで気づかなかった。



「じゃあ俺たちコンビニまで飲み物買いに行ってくるから、光と栗原さんはここで勉強して待っててくれる?」


「え」



何で木崎くんと待たなくちゃいけないんだ。
それに、飲み物くらい冷蔵庫に入ってないのかな…?


人様の家で図々しいと思われるかもしれないけど、それ程までに木崎くんと2人きりになることは避けたかった。



「あ、それなら私とゆかりちゃんで買いに…「わかった」」


ゆかりちゃんと買いに行くと言おうとしたら、それを言い切る前に木崎くんが了承したので私は驚く。


何でわかったとか言うんだろう。
私のこと嫌いなんじゃないの……?


絶対嫌がって暴言吐かれると思ったのに、なんだか裏があるようで怖くなる。



「じゃあ行こっか、田島さん」


「はーい。円香たち、仲良くね〜」


ゆかりちゃんはすんなりそう言って、狩屋くんと部屋から出て行ってしまった。


私が木崎くん苦手だって知ってるのに…。


静まり返った部屋の中で、時計の秒針だけが響く。


…気まずい。


話すこともないし勉強に集中すればいいだけなんだけど、やっぱりこの状況が気まずくて堪らない。


あの二人が早く帰ってきてくれることを願っておこう……。



「なぁ」


「…え、なに?」


今日は頻繁に絡んでくるな…。
私の事嫌いなんだったら放っておいてほしい。