「わかった。私も行く!」


「ホントッ?!良かったぁ〜、頼まれてたから断られたらどうしようかと思った!」


「頼まれてた?」


「ううん、こっちの話!」


“気にしないで〜”と誤魔化すゆかりちゃんを不思議に思ったけど、追求しないでおいた。



「狩屋くん達って言ってたけど、あとは誰が来るの?」


「狩屋くんが木崎くん誘うって言ってたよ。だから合わせて4人かな?」


……木崎くんか。苦手なんだよなあ。


木崎 光(きざき ひかる)くんは、小学校の頃からずっとクラスが一緒で、何故か昔から私のことをいじめてくる。


いじめてくるというか、意地悪というか。
他の子には普通に接するのに私にだけ態度が違うから、余計に苦手で。


…大丈夫かな。不安になってきた。


まあでも2人きりじゃないし、ゆかりちゃんも狩屋くんもいるし…。


それに、中学生になってからそんなに話すことも無くなったし、私の事なんてもうどうでもいいと思ってるよね…。


ああでも嫌われてるだろうから嫌がられたらやだな…、でももう行くって言っちゃったし…。


先にメンバー聞けばよかった、と後悔しても時既に遅し。


はぁ、と溜息を吐いた時。



ーーブーッブーッ


鞄の中に入れていたスマホが震え出した。


めちゃくちゃ電話かかってきてる…。


画面を見なくても椿くんからだとわかる。
……椿くん以外に登録してる人いないしね。


学校だってわかってるのにかけてきちゃうってことは、やはり先程送った今日家に行かない件についてだろう。


暫くすると、着信が止んだ。

それにほっとしてスマホを鞄に戻そうとすると、またスマホが震え出した。


……何回もかけてこないほしい。
学校で電話に出れるわけないじゃん。


椿くんからの着信が止みそうになかったので、私はスマホの電源を切った。