カラン――小さな鈴の音と共に目に飛び込んだのは、星だらけの店内。


外装と同じ紺色の壁紙には、淡く星が散らばり、天井には星形のライト。明るすぎず、暗すぎず丁度いい。

カウンター席とテーブル席、棚や床は統一された味のある木でとても落ち着く。


「わぁ……」

ゆっくりとドアを閉めて、店内を見渡す。
壁にかかる書や、棚に飾られた星や月の置物。

四方八方に色々な物が散りばめてあるのに、うるさく感じない。

「……綺麗。ちょっとしたプラネタリウムみたい」


「……おや?」

「っ!」

後ろからの声にハッとして振り返れば、カウンターの奥から人影が――
すっかり、何をしに来たのか忘れちゃってた。

「すいません、まだ開店時間前でして……」

歩み寄って来たのは、中性的な容姿で銀色の髪は結んでいるけど、肩下くらい長い。
すらっとしていて綺麗だ。

「あ、いえ!その……道をお尋ねしたくて」

慌てて軽く会釈を交えた。


「道?構いませんよ。どちらに向かわれるんですか?」


にこっと優しく微笑んでくれた様子に、わたしは胸を撫でた。


――優しい人で良かった。

「実はこの辺りにある、プラネタリウムに繋がる道がわからなくなってしまって」


そうわたしが尋ねた矢先、笑顔が少し困った表情に変わってしまった。