――あれ?

高校生三年の夏休み、プラネタリウムへ向かったはずのわたしの目の前には 住宅街が広がっていた。



一週間前――


「夏休み旅行行くんだぁ」

「えーいいなぁ!私、海だけなんだけどー」


夏休みの話で持ちきりでざわつく教室で、
わたしだけが憂鬱な顔をしていた。

高校三年、必ずついてくる「進路」話。

大学、専門、就職……耳が痛くなる。
大学や専門に進んだとしても、全く違う道へ行く人も多いし。漠然ととりあえず行こうとも思えない。

かといって、社会人として働きましょう、って言うのもピンとこない。

何がやりたいのか、何になりたいのか、決まっている人に比べて、何もない。

「夏休み中に面談あるからなぁ、しっかり進路考えておくように」

配られた進路の紙を見つめる度に せめてめぼしくらいはつけないと……と焦りが生まれる。