淡い色のチュール素材を何層にも重ねたトップス。反対にボトムスはカジュアルなカーゴパンツで、黒いベルトが腰から太ももにかけて、ハーネスっぽく繋がっている。

 上下でちぐはぐにも思えるけど、絶妙にバランスが取れているのは、千佳くんの抜群のセンスのおかげだ。

 わたしの衣装は、全て千佳くんが手掛けていて、動画のコメントでも〝衣装が素敵〟と毎回褒められるから幼なじみとしては鼻が高い。エッヘン。



「着心地は?」

「いいよ。腰のベルトとハーネスが拘束具みたいだから踊るのは難しいけど、個人的には好き」

「ま、これは衣装じゃないしな。悪くない」



 全身をくまなく目視で確認する千佳くんは、アクセサリーが気に入らなかったのか、取り外していく。

 そして、ピアスを取ろうとした千佳くんの指がわたしの耳朶に触れたとき、大袈裟にぴくりと肩を揺らしてしまった。



「なに、擽ったかった」

「……耳朶ふにふにしないで」

「ふ、やわらか」

「んもー! 自分の触ればいいじゃん!」



 みにょん、と耳朶を指先で弄ばれる。

 わたしは軽率に触れられるだけでも、意識しちゃうのに。

 千佳くんのばーか。