わたしたちが住む家は、地下を含め三階建て。

 地下はわたしの作業スペースで、1階は広いリビングと衣装部屋、空き部屋と続き、2階はシアタースペースと物置部屋、それから寝室がある。

 一応来客部屋もあるけど、今は開かずの間になっているから、空き部屋みたいなものだ。



「ここのノイズ気になるな」

「だよね。パラメーター調整して修正する」

「あとは問題ないと思う。最高の出来」

「ん。ありがと」



 編集したものを一通り千佳くんに見てもらい、的確なアドバイスを元に修正しながら、完成したものをファイルに保存する。

 ぐっ、と伸びをすると固まった筋肉がほぐれた。



「つっかれた〜!お〜わり!」

「よし、寝るぞ」

「え〜、ねむくない。まだねない」



 ジト目の千佳くんには悪いけど、ベッドに入っても寝れる気がしない。

 デスクの前から動かず、首を横に振ると隣に立っていた千佳くんはおでこに手を当てながら、仕方ねえなと呟いた。



「んじゃ、俺の作った服着て」

「うん。新しいやつ?」

「この前の。腰周りキツイって言ってたから直した」

「黒いベルトの?」

「それ」



 仕事じゃないけど、仕事がはやい。

 紙袋からわたし専用の服を取りだした千佳くんは、真剣な顔でフィッティングをはじめた。