肩に頭を預けて、子猫のように甘える。
肌寒さは、千佳くんで暖をとることで緩和。さいきんは食欲の秋も読書の秋も飛び越えて、冬がやってくるから気がはやい。春夏秋冬じゃなくて夏冬だ。
心地好い揺れが眠気を誘った。未だにぶつくさ文句を並べる千佳くんの声が、子守りのBGMっぽい。
「そんなに冷水浴びたいの?ならいっしょにお風呂入る……?プールでもいいよ……?」
「このばか寒い時期に水風呂か?二人揃って死ぬぞ」
「う〜ん……」
「……は〜、水着作るか……」
ねむくて、意識がぽやぽや。
そうこうしてる内に、二階の陽の当たる寝室に到着して、ふかふかのベッドに下ろされた。
採光性のある両開きの窓から高い木々が見える。部屋に物自体は多くなくて、キングサイズのベッドと本棚とサイドテーブルがあるくらい。
そして、風邪をひかないようにと再三言って聞かせる千佳くんが、謎に毛布を何枚も重ねてかけてきた。
「いい子だから寝ろ」
「毛布かけすぎてあついよ」
「……わかった」
「となりで、いっしょに寝る」
「わかったっての」
相変わらず、わたしの我侭によわいね。
隣に寝た千佳くんが、毛布ごとわたしを包むようにして抱きしめるから、嬉しくて頬がゆるんだ。