——睡眠薬は星の欠片で、じょうずに噛めたら星屑になるんだよ。

 そう教えてくれたのはあなただった。

 彼が噛んだ星屑を唇から唇に注がれたとき、このうえない高揚感におそわれたことをよく覚えている。


(すい)を殺せるのは、ぼくだけだからね」


 吐息の隙間でじとりと湿った視線が絡み合う。背徳感に神経細胞が焼き切れる感覚がして、あまくて、きもちよくて、だけどほんのすこしだけかなしかった。

 これから、ふたりでしぬつもりだった。心の中、と書いて心中、と読むその言葉は、行為のうつくしさをよく反映していた。

 人間嫌いのあたしたちの楽園は永遠になるはずだった。