「んじゃ、そろそろ戻ろっか。いいもん見せてもらったな~。チョー萌えた」


そう言って無邪気に笑うラスティ君。


……考え過ぎか。


いくら世界中の犯罪者から恐れられている3人の1人だからって、私がスパイだということは分かるはずがない。


疑われるようなものは一切残していない。


ここの情報をいちいちメモか何かに記録しているわけでもないし、シャロンと会話するのは大抵誰もいないエレベーター。


エレベーターにカメラや盗聴器が隠されていないのは確認済みだ。


それにそんなことが分かっているならとっくに他の2人にもばらしてるだろうし。


あの2人から私がスパイだと分かっているような素振りは感じられない。



……やっぱり純粋な好奇心で私に近寄ってきてるって考えた方が妥当だわ。



私は苦笑しつつ「そうね」と言い、その日はそのままラスティ君と9階へ戻った。